本研究は、国際河川において流域国が覇権を獲得する要因と過程について、流域国の水管理能力構築の歴史から明らかにする。昨今、ナイル川流域国エチオピアによるダムの独自建設など、様々なパワーにより水資源を独占的に利用・管理し、他の流域国を支配する流域国(水覇権国)の行動が顕著である。先行研究は水覇権国の行動の源泉を国際システムに基づくパワーから説明してきたが、何故、また如何にパワーが構築され、流域国はそのパワーを保持・行使するようになるのかに関し十分な説明はなされていない。そこで本研究はパワーの起源と流域国の水覇権獲得の過程に関し、流域国による建国時における国内水行政の構築過程を追い明らかにする。
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