本研究は、都市形成の分業体制と職能意識の観点から、日本の都市の近代化過程における関東大震災後の帝都復興事業の位置づけを再評価しようと試みるものである。 大正時代後期を都市建設分野において機能分化やセクショナリズムなど近代の特徴が現れ始めた時期と捉える。当該時期の一大プロジェクトであり東京の都市の近代化を推し進めた帝都復興事業を対象に据え、機能分化≒事業分業体制の実像を明らかにし、関係主体の職能範囲に対する意識を論じる。 都市建設分野に係る主体の多様化が進む中での課題「都市の公共性や公共の福祉を担保するために、どの主体がどのような責任を負うべきか」を論じる上で基礎となる歴史的知見が得られると考える。
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