本研究では、「予測符号化理論」と呼ばれる脳の情報処理に関する理論について、多角的なアプローチを用いてその妥当性に関する検討を進める。この理論は、脳がどのようにして複雑で優れた情報処理を実現し得るのかについての洞察を提供するが、決定的な理論となるには至っていない。 本研究ではまず、「予測符号化理論を前提とした神経回路の数理モデルにおいて、ヒトや動物に見られる知覚特性が再現されるか」という視点に基づく予測符号化理論の妥当性の検討を行う。それと同時に、「エネルギー消費の最適化などの原始的な目的から予測符号化が導けるか」を理論的に検討することで、予測符号化理論の妥当性のさらなる強化を試みる。
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