| 研究課題/領域番号 |
24KJ0853
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| 研究種目 |
特別研究員奨励費
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 国内 |
| 審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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| 研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑田 向陽 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員(DC1)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-23 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2026年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2025年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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| キーワード | 渦鞭毛藻 / 貝毒 / アザスピロ酸 |
| 研究開始時の研究の概要 |
アンフィドマ科に属する海産有殻渦鞭毛藻の一部の種は,アザスピロ酸貝毒中毒の原因毒素であるアザスピロ酸を生産する。アザスピロ酸による食中毒の防除には,二枚貝等の毒化の予見と貝毒発生時の原因種の迅速な検出・同定が肝要となる。本研究では,日本沿岸におけるアンフィドマ科の種組成と毒生産種を把握するとともに,それらの分布や出現時期などの生態的情報を得ることを目的とする。日本沿岸より単離したアンフィドマ科渦鞭毛藻の培養株を用いて形態と系統を観察・解析することで種組成を把握し,定点で毎月採水しqPCR法により有毒種の細胞数を定量することで分布や出現時期を把握する。アザスピロ酸解析は研究協力者に依頼する。
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| 研究実績の概要 |
Azadinium属とAmphidoma属からなる海産有殻渦鞭毛藻アンフィドマ科の一部の種は,アザスピロ酸貝毒中毒の原因毒素であるアザスピロ酸(azaspiracid: AZA)を生産することが知られている。AZAによる食中毒の防除には,二枚貝等の毒化の予見と貝毒発生時の原因種の迅速な検出・同定が肝要となる。そのためには,日本周辺海域に分布するアンフィドマ科渦鞭毛藻の種組成とAZA生産種を把握し,AZA生産種の分布や出現時期などの生態的情報を得ることが重要である。本年度の研究では,相模湾,浜名湖,函館湾,太平洋などから海水試料を採取し,アンフィドマ科渦鞭毛藻の細胞を探索した。そして単離したアンフィドマ科培養株の系統と毒生産を調べた。作成した培養株のLSU rDNAとITS領域に基づく分子系統解析を実施し,函館湾からAzadinium zhuanum5株,浜名湖からA. poporum1株の出現を確認した。AZA解析は研究協力者に依頼した。北海道東方沖から採取した環境DNA試料の定量PCR(qPCR)解析により,Azadinium有毒種2種の分布を調べた。有毒種A. spinosumとA. poporumに種特異的なプライマーセットとプローブを用いてqPCR解析を行い,日本周辺の外洋における両種の分布を把握した。また,種や属を識別する形質やAZA産生に関わる形質の探索のために所属研究室が保有するアンフィドマ科培養株の透過電顕観察を行った。所属研究室が保有する有毒種3種(Amphidoma languida,Az. poporum,Az. spinosum)と無毒種2種(Am. fulgens,Az. zhuanum)の細胞内微細構造を透過電顕で観察した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本周辺海域におけるアンフィドマ科渦鞭毛藻の出現種と毒生産能を把握するためには培養株を作成し,系統解析とAZA解析を行う必要がある。本研究では日本沿岸から2種の培養株を作成した。函館湾から単離した5株は配列が一致し,Azadinium zhuanumであった。浜名湖から単離した1株はAzadinium poporumであり,種内系統群Bに属した。また,LC-MS/MSによるAZA分析の結果,Az. zhuanumからはAZAは検出されなかったが,Az. poporumからはAZA-2が検出された。環境DNAを用いた有毒種2種の細胞数の定量では,沿岸で頻繁に観察されるAz. poporumは全測点で1細胞未満であったのに対し,沿岸では稀なAz. spinosumは全ての測点で検出されたことから,種によって分布する海域が異なることが示唆された。アンフィドマ科5種の細胞内微細構造の観察では,種間ではピレノイドに違いが見られ,Am. fulgens,Am. languida,Az. spinosumからはデンプン鞘で覆われた突出型ピレノイドが1つ,またAz. poporumでは突出型または膨潤型,Az. zhuanumでは埋没型のピレノイドが複数観察された。Amphidoma 2種ではピレノイド基質への細胞質の陥入が見られたが,この構造はAzadinium 3種からは観察されなかった。この結果は先行研究でのAzadinium 3種(Az. dalianense,Az. dexteroporum,Az. poporum)の観察結果とも一致しており,細胞質の陥入の有無は属間で異なる可能性がある。結晶を含む小胞は観察した5種全てで,脂質を含む多層膜構造はAm. fulgensを除く4種で観察された。
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| 今後の研究の推進方策 |
日本周辺海域のアンフィドマ科の種組成の解明に向けて,細胞の探索と培養株の作成を進める。種や属を識別する形質やAZA産生に関わる形質の探索のために,保有するアンフィドマ科培養株の透過電顕観察も引き続き進める。また,これまでに日本周辺海域から単離されたアンフィドマ科培養株の中には,系統的位置は大西洋産種と区別されるものの,形態的相違が明らかになっていない株が複数あり,それらに関しては走査型電子顕微鏡観察を行い,種の異同を明らかにする。アンフィドマ科の出現時期や分布に関しては,有毒種2種に種特異的なプライマーセットとプローブを用いたqPCR法により,昨年度から引き続き相模湾と土佐湾から海水試料を依頼して時系列で出現時期を把握する。加えて,有毒種の出現が確認された付近の海底堆積物とそこに流れる海流の航海調査試料の採取を行うことで,シストを形成して湾内に定着するのか沖合だけに出現するのかを明らかにする。
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