分析フェミニズムを中心に、個人は社会歴史的関係の中に埋め込まれており、自律を社会や対人関係からの影響を受けつつ形成・発揮されるものと理解すべきだという関係的自律の議論が提案されている。本研究では、この関係的自律の議論を受けて自律を捉え直す。これによって、現に不正な関係の中での個人の自律や尊重を論じることができる自律概念の理解を提案する。その際に、選択肢への制約に応じて形成された選好である適応的選好という関連しつつより個別的なテーマへの含意を参照しながら進めることで、概念の理解とその含意の両方においてもっともらしい説明を目指す。
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