本研究では、血液中に豊富に存在するアルブミンを利用した生体の血管現地でのがん指向性ArM の合成法を検討する。①coumarinを導入したRu 触媒と、②がん細胞に選択的に集積するRGDペプチドにAlloc-BnF構造を導入した分子の2つの小分子が静脈内投与されるとまず、血中のアルブミンにRu触媒が配位する。そして、Ru触媒とAlloc-BnFの反応によって、がん指向性ArMが合成される。内在性のアルブミンを利用するため、事前にArM を合成する必要がなく、がん指向性ArMによる治療を簡便に行うことができる。さらに、他の金属触媒のArMを組み合わせることで、様々な抗がん剤の合成が可能になる。
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