有機合成化学反応には常に複数のパラメーターが関与するため、実験者によるそれらの網羅的な検討には時間にもコストにも限度がある。そこで今回、ラジカル反応による含フッ素有機化合物の新規合成法の開発をモデル反応として、データ駆動型のアプローチを確立する。更に、確立したデジタル手法を駆使して、医農薬品として幅広く利用されている含フッ素キラルアミノ酸の不斉合成を目指す。本研究は金属や高温・高圧などの過酷な条件を用いず、可視光によって進行する環境適応型の反応であり、合成化学と情報科学との融合に挑戦するという点に特徴がある。
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