本研究は、他のOECD DAC(経済協力開発機構 開発援助委員会)加盟国と比較した日本の栄養政策の強みが、WPRO(世界保健機関 西太平洋地域)の低・中所得国に対し、栄養政策改善にどのように寄与できるか、文献調査によって考察することを目的とする。WPRO低・中所得国は、経済発展が著しい一方、栄養不足が改善されないまま、肥満等の過栄養者が増加する「栄養不良の二重負荷」の課題を抱えている。また、災害発生率の高い地域が多く、被災後の栄養不良も懸念される。かつて同様の栄養不良を経験したものの、国家政策により栄養改善を実現した日本の知見は、WPRO低・中所得国の栄養政策改善に貢献できることが期待される。
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