本研究では,自己評定式の質問紙における,不注意回答を考慮した分析モデルの開発を行う。不注意回答はデータの質に影響するため,対応する必要がある。既存の手法では不注意回答を行う回答者のデータを除くが,データ数の減少と除外の恣意性の点で課題がある。そこで本研究では,回答者の注意力パラメタを加えた分析モデルを開発する。これにより,データを除かずに不注意の影響を分離した分析が可能となる。妥当な分析モデルを開発するために,先行研究に基づく演繹的なモデリングだけでなく,機械学習による帰納的なモデリングを行う。そして,これらのモデルを実データとシミュレーションで比較検討し,有効なモデルを提案する。
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