本研究は、本格探偵小説の父祖、空想科学小説の元祖と称される、アメリカ人作家エドガー・アラン・ポーの、特に詩作品の創作術を探るものである。韻律と修辞法に着目しつつ、ポーの作詩法が最も円熟した時期であり、また、ポーが詩論を書き始めた時期である、後期(1836-1849)の詩群の分析を行う。ポーの後期詩群の技巧的特徴の包括的理解を行うと共に、アメリカ文学、特に19世紀アメリカ文学におけるポーの詩の技巧の位置を探求する。W.ホイットマンやR.W.エマーソン、E.ディキンソンなど、同時代の詩人たちとポーの詩の技巧を比較し、ポーと彼らとの技巧的影響関係がどれほどあったのかを検討する。
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