本研究は、評論家神崎清が遺した個人資料である「神崎清コレクション」を元に、神崎が1950年代前半に精力的に取り組んだ米軍基地周辺での「売春」反対運動と、同時期に神崎らにより展開された、基地周辺に暮らす子どもたちを「風紀」上の悪影響から守る運動(「子どもを守る運動」)とがどのようなロジックのもと連動して展開されていったのかを明らかにするものである。 これにより、日本における「売春」反対運動が、「売春」によって悪影響を受ける「無垢な子ども」やその「子どもを守る母親」などの表象を利用することにより、人々の「売春」に対する理解にどのような変化や影響を与えたのかを実証的に検討する。
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