本研究は、第三国における人権侵害に対する民主主義国の批判が、なぜ民主化につながらないのかをEUとトルコの事例より明らかにする。先行研究は、批判が及ぼす影響に焦点を当てているが、民主化につながらない要因は明らかではない。本研究は、EU側の視点としてトルコの加盟交渉に関する国別報告書を計量分析し、EUがトルコをいかに批判しているのかを明らかにする。対するトルコ側の視点としてはエルドアン大統領の演説を計量分析し、EUへの感情的反応と変化を解明する。本研究は、民主主義側の批判と被批判国側の反応を検証することを通じて批判が民主化を促進しない要因を明示し、民主化研究とトルコ政治研究に新たな洞察を提供する。
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