自己客体化とは,「自己が侵害されて人間性を無視される,モノのように扱われた体験を通して,自分をモノとして捉えること」である。自己客体化は性暴力被害者の中核的傷つきであり,自己主張の抑制からさらなる再被害へとつながる可能性が指摘されている。つまり,性暴力被害者に対するPTSD治療において,自己客体化をターゲットとすることは重要である。 そこで本研究では,自己客体化を包含した性暴力被害者支援モデルに基づく新たな介入法の開発を目指し,性暴力被害者のPTSD 治療法の確立に向けた緩和要因の特定と,その緩和要因が自己客体化を媒介して,PTSD 症状に対して働きかける心理的機序の解明を目的とする。
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