言語の普遍性と多様性の探求を中心的な課題とする生成文法理論では、自然言語に共通する普遍文法を仮定することで、言語の普遍的特性が説明される。言語の多様性に関しては、普遍文法原理に付随した可変的なパラメータを設定するPrinciples & Parameters分析により、言語間差異が捉えられてきた。しかしながら、普遍文法に多数のパラメータを仮定する分析が棄却された現行の極小主義の枠組みにおいて、言語間差異を捉えるメカニズムは不明瞭である。本研究は、極小主義を追求する過程で大きな課題となり得る言語の多様性を、普遍文法に残された限られたメカニズムから導出することを追求する。
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