近年,幹細胞を目的の細胞種へ分化させるための分化誘導技術として,基板の微細構造による分化誘導が注目されている.しかし,様々な時空間の現象が関与するため,微細構造に応じて特徴的な細胞の形態に至るまでの細胞接着過程の物理機構は不明な点が多く,基板開発は依然として試行錯誤的である.分化誘導基板設計の効率化には,計算機上で細胞の数理モデルを構築し,種々の基板上での接着過程を予測することが有用であると考えられる.本研究では,接着初期と後期の時間スケールギャップを埋める細胞の数理モデルを構築し,数値シミュレーションと実験観察の双方向アプローチによって微細構造基板における細胞接着過程の物理機構を解明する.
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