第二次世界大戦下の日独学術交流の実態について、とりわけ国内の思想運動との連関性に着目して明らかにする。当該時期の学術交流は、戦局や国家間関係のみならず、日独両国内における文化・学術をめぐる状況が直接的に反映されており、その意味で学術交流の歴史的意義を検討することは、日独関係を内在的な視点から捉え直すことに繋がる。とりわけ三国同盟成立期に開催された日独学徒大会には、帝大粛清運動を牽引していたイデオローグや、ナチ政権によって派遣された学者が多数参加しており、そのために両国独自の世界観や民族意識がしばしば衝突していた。彼らの言説に着目し、当該時期における両国の思想的基盤や論理構造を明らかにする。
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