研究課題
特別研究員奨励費
学術や文明の概念が揺れ動いた19-20世紀の転換期に学問の主題を扱ったパリ大学装飾画は、新たな象徴主義的表現を展開したのみならず、ジェンダーや民族に関わる身体表象の変容をはらんでいた。本研究はこうした表現について制作と受容をめぐる実証的な調査のうえジェンダーや民族などを複合するインターセクショナルな視点で分析し、象徴主義美術の新たな展開を提示するものである。まず女性の画家による身体表象とジェンダー規範の相互作用を分析する。また西欧内外の「他者」としての民族やジェンダーの表象に着目し「文明」「野蛮」概念の恣意性を明示する。さらに宗教文化とジェンダー観の交差する視座から科学主題の身体表象を見直す。