研究課題
特別研究員奨励費
ヤコービの主著『スピノザ書簡』ではヤコービ哲学の核となる部分がようやくスピノザ哲学との対比において理解されるのに対し、哲学小説『ヴォルデマール』においては登場人物の哲学的主張を通じて、直接的にヤコービの思想内容が詳細に語られる。そこで本研究では、第一に『ヴォルデマール』の登場人物によって議論される哲学内容のうち特に徳倫理および良心論に焦点を当てる。そしてその際には、プラトンの快と不快、ファーガスンの道徳哲学および市民社会史論、ヘムスターホイスの完全性の理論、アリストテレスの徳倫理と情熱などをめぐって展開されるヤコービの思想内容を整理し、ヤコービの哲学的立場を明らかにすることを目指す。