宿主-寄生生物間の共生系は生物の進化を駆動する生物学的要因の一つである。アリの巣は、外敵や天候の変化に頑健であり、寄生生物はアリが調達した食物を利用可能であるため、多様な「好蟻性動物」が生息している。アリヅカコオロギ属は直翅目唯一の好蟻性の昆虫であり、アリとの共生系に適応すべく、体サイズの大幅な減少や翅の退化など劇的な形態進化を遂げている。本研究では、アリヅカコオロギ属の好蟻性への適応進化の分子基盤を理解するべく①高精度な全ゲノム塩基配列解読、②本属の「遺伝子の水平伝播」・「遺伝子重複」・「塩基置換速度が異なる遺伝子」の検出、③検出された遺伝子に対する機能解析に取り組む。
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