研究課題
特別研究員奨励費
本研究で着目するユダヤ人作家たちは、フランス共和国の価値とユダヤ的価値との相克を経験し、シオニズムへと関心を向ける。本研究は、ドレフュス事件を経て戦争へと向かう、 誰もが「国家」を意識せざるを得ない時期に、フランスのユダヤ人作家たちがどのように「フランス」と「ユダヤ」という二つのアイデンティティーをとらえていたのかを文学空間から考察する。本研究で取り上げるユダヤ人作家たちは文学史上に名を残す人物ではないが、彼らが展開した文学的シオニズムは、ユダヤ史や思想史に文学の領域から新たな知見をもたらすものであり、シオニズムを一つの選択肢として考えることのできた作家たちの想像力を本研究で位置づける。