主根から分岐する側根は、主根の内部組織から生じ、被覆する細胞群を引き裂くようにして出現する。故に、根は内部組織さらには外部環境からの傷に鋭敏に対応しなければ、その生命が脅かされる。植物の傷害応答は、組織の修復・再生の研究が進む一方で、根が負傷してから治癒開始までの応急かつ局所的な細胞機能調節はほとんど明らかになっていない。本研究では、根での傷口周りの細胞が即座に発動する傷口拡大を防ぐための新規の傷害防衛戦略Cellsロックを、新規転写因子に着目して明らかにする。傷害発生から新規転写因子の発現までのシグナル伝達と、それによって起動する転写ネットワークおよび細胞機能調節までの一連の初動を解明する。
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