本研究は、政治思想史の観点からフランスの社会主義者ジャン・ジョレス(1859-1914)のテクスト叙述と政治的行為に注目し再検討することで、ジョレス主義の形成と変化の探究を目指す。具体的には、ジョレスの活動時期を前期(1889-1895)・中期(1895-1905)・後期(1905-1914)に区分し、各時期の主要なテクスト群を読み解いていく。そうして、(1)リベラル・デモクラシーの限界、(2)議会政治と社会運動の関係性そして(3)社会主義と戦争という論点を提示し、「穏健な社会改良主義者」と「革命的改良主義者」という2人のジョレス像を架橋した社会主義思想の全体像を明らかにする。
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