炎症性腸疾患 (IBD) は免疫細胞が腸に炎症を起こし、下痢や腹痛を引き起こす疾患である。IBD の発症にはTh細胞の過剰な活性化が関与するが、その要因は不明である。これまで、(1) 細胞膜損傷はTh細胞の炎症性サイトカイン発現を増加させる。(2) 腸管のTh 細胞はリンパ節のものと比較して細胞膜損傷を受けにくい。という事実を見出したことから、腸管のTh細胞は、細胞膜損傷能を持ち腸管に豊富に存在する胆汁酸に対する適応機構を持ち、その破綻がIBDの発症に寄与するという仮説を立てた。本研究では、細胞膜損傷適応に関わる分子の特定、その欠損がTh細胞の活性化、IBDの病態に与える影響の検証を試みる。
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