研究課題
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
高温超伝導体の高い超伝導転移温度(Tc)の起源を探るうえで、角度分解光電子分光(ARPES)による電子構造研究が有効である。しかし、常圧下最高のTcを誇るHgBa2Ca2Cu3O8+δ(Hg1223)は自然劈開面を持たず、試料の劈開を必要とするARPESの適用が阻まれてきた。本研究では、高エネルギー分解能ARPES装置として世界最小レベルの光源サイズを有する放射光施設MAX IVのBlochビームラインを利用し、Hg1223のマイクロARPES測定を行う。劈開後の乱れた表面のうち、微小な平坦領域を選択的に捉えることでARPES測定を実現し、常圧下最高のTcを生み出す要因を電子構造から特定する。