研究実績の概要 |
本研究では, 3次元加速度トレーニング(acceleration training : AT)に注目し, (non-alcoholic fattyliver disease : NAFLD)を有する肥満者に対しATを実施し, 体組成, 肝機能, 糖・脂質代謝, 炎症病態などの観点から, ATの有用性について検討した. NAFLDと診断され, 3ヶ月の生活指導を行ったにもかかわらず, 肝機能, 肝脂肪の改善がみられなかった肥満者にATを開始した18名を解析の対象とした. InBody720により体重, 体脂肪量, 骨格筋量, 内臓脂肪断面積, 1H-Magnetic Resonance Spectroscopy(MRS)により骨格筋細胞内脂肪(IMCL), 骨格筋細胞外脂肪(EMCL), 肝細胞内脂肪(IHL), FibroScan502により肝硬度, 肝脂肪量を測定した. 血液検査項目として肝機能項目(AST, ALT, γGT), 肝線維化項目(IV型コラーゲン, NAFLD fibrosis score, M30), 脂質代謝項目(中性脂肪, HDL-C, 遊離脂肪酸), 糖代謝項目(HOMA-IR), 炎症マーカー(フェリチン, IL-6, TNFα, 高感度CRP), アディポカイン(アディポネクチン, レプチン)を測定した. SF-36v2TMを用いてQOL調査を行った. 体組成 : BMI, 体重, 体脂肪量, 内臓脂肪断面積がAT開始後3ヶ月, 開始後6ヶ月で有意に減少した. 骨格筋量には変化を認めなかった. MRS測定 : 肝脂肪量は減少傾向を示したが, 筋脂肪量には変化を認めなかった. 肝硬度・肝脂肪量測定 : 肝脂肪量がAT開始後6ヶ月で有意に減少した. 血液検査項目 : 中性脂肪がAT開始後3ヶ月と6ヶ月の間で, TNFαが開始後3ヶ月で有意に減少した. また, アディポネクチンが開始後3ヶ月で有意な増加がみられた. QOL調査 : 全体的健康感においてAT開始後3ヶ月, 開始後6ヶ月で, 活力においては開始後3ヶ月で有意な向上がみられた. 6ヶ月にわたるATにより, 肝脂肪量の減少とともに代謝異常症(肝機能, 糖・脂質代謝, 炎症病態など)の改善が認められた. また, QOLの有意な向上も認められた. ATはNAFLDのマネージメントに有用であると考えられた.
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