研究課題
基盤研究(B)
ヨーロッパ腐蛆病は蜂群の崩壊につながるミツバチ幼虫の致死性伝染病で、家畜伝染病予防法で法定伝染病に指定されている。原因菌であるMelissococcus plutoniusは、約100年前からその存在が知られているものの、本病の発病機構は全く明らかになっていない。本研究では、ヨーロッパ腐蛆病菌の性状や遺伝子を詳細に解析することにより、本病の発病機構を明らかにし、将来的なヨーロッパ腐蛆病の予防法開発に資する情報を得ることを目的とする。これまでの研究の結果、本課題では、下記の成果が得られた。1. ヨーロッパ腐蛆病の実験室内感染実験法を確立し、遺伝子型の異なるM. plutonius株はミツバチ幼虫に対して異なる病原性を示すことを明らかにした。2. M. plutonius株をミツバチ幼虫に感染させ、病理組織学的解析を行った結果、本菌は基本的に囲食膜に囲まれた中腸腔内にとどまっているが、菌由来の何らかの分子が幼虫体内に拡散し、幼虫に悪影響を与えている可能性が示唆された。3. ヨーロッパ腐蛆病発症時の幼虫の反応を理解するため、感染幼虫と非感染幼虫における遺伝子発現パターンをマイクロアレイ解析で比較した結果、両者では遺伝子発現パターンが明らかに異なり、感染させた菌株のタイプによっても幼虫の遺伝子発現パターンに違いが見られた。4. M. plutoniusの遺伝子欠失株作出法を確立し、本菌の病原性への関与が疑われたエンハンシン遺伝子、ソーテース遺伝子、キチン結合タンパク質遺伝子の欠失変異株の作出した。これら変異株を使って感染実験を行なった結果、ミツバチ幼虫への明らかな病原性の低下は認められず、これらの遺伝子単独では、本菌の病原性に大きな影響を与えていないことが示唆された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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