研究課題
基盤研究(B)
最近、高血圧症には血管拡張作用を持つ液性因子を血管内皮細胞が分泌し、Vascular toneが制御されている事が明らかにされている。血管拡張作用を有するものとして、プロスタグランジンI2、一酸化窒素(NO)、内皮細胞依存性過分極因子(EDHF)でCYP450由来のepoxyeicosatrienoic acids (EETs)が報告されているが、どうのように血管に関与しているかは明らかではない。本研究では、ミッドカイン(MK)が内皮細胞由来の血管作動性因子を介して血圧を上昇させるメカニズムを解明し、MKを制御する事で高血圧症や血管内皮細胞障害に対する新たな治療法を開発する事を目的とした。これまでに、MK遺伝子欠損マウス(MKKO)と野生型(WT)マウスを用いて片腎摘マウスを作成し、NO合成酵素阻害剤L-NAMEを投与したところWTマウスではMKKOマウスと比べ、高血圧、腎機能障害をより強く呈したことを示した。その際、RAASやエンドセリンでは優位な差を認めなかった。一方で、血管拡張因子であるEETsの代謝産物の14, 15-DHETはMKKOマウスにて優位な上昇を認めていた。その後、EETsカスケード阻害剤をMKKOマウスに投与すると、血圧の上昇を認めた。また、血清ノルアドレナリン濃度の上昇を認めた。上記の結果を基とし、EETs阻害剤の投与により腎微小血管循環の変化を検証した。生体顕微鏡によりperitubular capilaryを観察し、阻害剤により循環流量の40%程度の減少を示した。血管内皮障害を軽減させる事により高血圧や臓器障害を治療するための前臨床試験を動物実験によって行い、血管作動性因子や血管平滑筋細胞との相互作用の検証やメタボローム解析を使用したメカニズムの解明と新規関連因子の同定を今後もさらなる検討が必要であると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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