研究課題/領域番号 |
25350437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会システム工学・安全システム
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 眞理子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90323550)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2015年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2015年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2014年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2013年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CDS / JGB / 流動性 / 平時 / ストレス時 / 市場参加者 |
研究実績の概要 |
1 平成27年度においては、2012、13年と同様のCDS市場に関するアンケート調査を実施し、3年間の比較分析を行った。参加者の行動や認識に大きな変化はみられなかったが、日本銀行による量的質的緩和の開始や欧米でも緩和が進んだ等の政策変化があったため、参加者の相場観の差の縮小や信用リスクの保護に対する需要の後退などから取引高は減少し、この間の市場の流動性は低下した。為替取引の分析では、価格と量、タイミング等を比較的柔軟に選択できる取引慣行や背後に多様な実需の参加者がいる等の事情を反映して、危機時にも、価格の変動パターンや取引量の分布等に平時とは異なる特徴がみられるものの、総体としての取引量は維持されていること等が分かった。国債の市場をみると、上記金融政策により、金利は低下し、取引の活発さに関連する指標を中心に流動性も低下しているとみられている。 2 以上を踏まえると、第1に証券価値を構成する要素としての流動性と市場機能としての流動性は分けて考える必要があること、さらに証券価値の要素となる流動性においても、発行規模などの証券設計上の要因とキャッシュフロー見通しに係る要因は分けるべきであること、第2に市場機能としての流動性も、市場の制度設計に係る要因と市場参加者の多様性や数などの需給に関係する要因は分けるべきであると考えられる。 3 本研究では、当初は証券価値における流動性価値を取り出し、モデル化することを想定したが、他の条件を管理できれば、基本的には信用リスクの評価に概ね帰着すると考えられる一方、他の条件を規定する流動性の多義性を明確化することの重要性が示された。これは、CDS、為替、国債などの異なる市場に関する基礎的分析を通じて得られた知見であり、危機時あるいは中央銀行の介入時など、異なる条件下で生じる流動性の低下をより総合的に理解する枠組みの構築につながる研究結果と考えられる。
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