本研究では、19世紀後半のマンチュリアにおける清朝の諸改革に関する史料の抽出と整理を行い、その諸改革の背景や内容を比較して諸改革間の関連性についての検討を進め、その諸改革全体が有する特徴に関する考察を試みた。その結果、以下のような知見・見通しを得た。 (1)洋務運動期のマンチュリアにおける諸改革は、マンチュリア南部では、漢人移民や馬賊集団を実質的に把握・統制するため、1870年代から主として官制改革のかたちで推進された。(2)他方、マンチュリア北部では、馬賊の発生や1880年代前後の北東アジアにおける国際的変動の激化のため、軍事的な対応を緊急に実現すべく軍事色の強い兵制改革が推進された。
|