研究課題/領域番号 |
25370853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ史・アメリカ史
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
徳橋 曜 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (30242473)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2015年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2014年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2013年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 水 / ヴェネツィア / 環境 / 環境意識 / 公共性 / 近世 / 河川 / 領域支配 / テッラフェルマ / 水利監督 / 紛争 / 近世イタリア / 環境史 / 森林 / 河川管理 / イタリア |
研究成果の概要 |
本研究では近世ヴェネツィアの水環境保全の強い意識を史料から確認し、本土領域の河川管理に関して多くの報告や意見書が出され、情報が蓄積・共有されたことも判った。現地調査はかなり頻繁で、水利管理局の下にその報告書や書簡が集積されたことは、当局の関心の高さと共に、意見書を出した側の積極的な関心も示唆する。支配都市にとっての「公益」は必ずしも共和国全体で共有されなかったが、16世紀末までに水環境政策をめぐる「公共」意識は、ある程度まで本土でも共有された可能性がある。その一方、従属都市はヴェネツィア主導の環境政策に関わることはなく、地域的な水利紛争を相互に解決するのみであったことが、明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、近世ヴェネツィアとその支配領域の都市パドヴァの水利関係文書を主たる史料として、具体的な政策の背景にある当局の環境意識を明らかにし、またラグーナや本土の河川等の水環境をヴェネツィア共和国という国家にとっての「公共財」と捉える意識が、どの程度まで共有され得たかを示した。こうした問題についてこれまで実証的な研究が進んでおらず、その点に本研究の成果は学術的意義がある。同時に、現代日本とは離れた時代・地域の「環境意識」の共有の問題を「公共」という観点から具体的に提示できたことは、環境をめぐる「公益」解釈の対立に関する現代的な問題を検討する一助ともなるという点で社会的意義を有する。
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