本研究では,消費者物価指数の精度と作成方法の検討を行うために,POSデータを用いて統計分析を行った。本研究では,主要な下位レベル算式の性質をシミュレーション実験により比較し,下位レベル算式の性質は,価格調査の方法と密接に関連することを示した。一方,POSデータを用いた物価の先行研究では,特売価格の判定方法やPOSデータの集計頻度が異なっている。本研究では,主要な12種類の特売価格の判定方法を,集計頻度に注意して比較することにより,特売価格の判定方法と集計頻度が,指数系列やその後の分析に影響する可能性を示した。これらの結果は,物価や物価指数に関する議論に対して,有益な情報を提供すると考えられる。
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