本研究は,保安処分に対して反対の立場を堅持してきた精神保健福祉分野のソーシャルワーカー(PSW)の職能団体である「日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会」(PSW協会)が,一種の保安処分と同定できる「医療観察法」に実質的に関与するに至った過程の検討を通して,関与の正当化論理及び本法における「社会復帰」について明らかにすることを目的として行われた.結果,①PSW協会は「対象者の社会的復権と福祉のための活動」という「使命」を医療観察法への関与の正当化根拠した点,②医療観察法における「社会復帰」とは,本法対象者が再び同様の行為に及ばない環境下で生活し続けることを指す点の2点を明らかにした.
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