研究課題
基盤研究(C)
低品位廃熱から熱エネルギー回収可能な材料・システムの開発が盛んになっている。1970年代よりシリカゲルやゼオライト等の水和熱を利用するヒートポンプの可能性が示されているが、ゼオライト等吸着材自身の熱伝導性の低さが大きな障壁となっている。金属等の高熱伝導性物質との複合化は有効な手段の一つであるとされている。我々は、ゼオライトを金属基板に直接積層し、新しい熱エネルギーデバイスの開発や高効率化および汎用性向上に繋がる材料の開発を目指す。市販の厚さ0.5mmの純Cu板を放電加工により直径10 mm、に切り出し、エメリー紙で研磨し、エタノール中で超音波洗浄した。吸着ヒートポンプへの適応が有望視されているCHA型ゼオライトは、原料ゼオライト粉末(FAU)25 gを198.2 mlのイオン交換水に投入し、さらに濃度9.5 mol/LのKOHを26.8 ml加え、密閉容器中で95℃、15日間の熱処理により合成を試みた。得られたCHA型ゼオライト対し、1-5 mol/L濃度KOH水溶液30 mass%吸収させたものを出発原料とした。これを0.3 g、Cu基板と共に水熱ホットプレス(HHP)用オートクレーブに装填し、温度130℃、圧力40 MPa、1時間HHP処理を行った。得られた試料について、X線回折(XRD)による結晶相の同定、走査型電子顕微鏡(SEM)により接合界面近傍の観察を行った。XRDより、FAU型からCHA型の合成に成功した。今後より最適なCHA型ゼオライト合成が求められる。HHP法を利用することで、これまで報告しているFAU型ゼオライトと同様に固化と同時にCu基板へ積層させることに成功した。本手法は、Cu基板をpH=14以上の高濃度アルカリ溶液浸漬する必要なく、短時間かつワンプロセスでCHA型ゼオライトをCu基板に積層することが可能である。CHA/Cu複合材を積層化した材料システムによる吸着ヒートポンプ、蓄熱システム等、新エネルギーデバイス開発に繋がる可能性がある。
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