研究課題
基盤研究(C)
【目的】オステオポンチン(OPN)は細胞増殖、細胞浸潤やアポトーシスなどを誘導する炎症性サイトカインである。OPNは組織内でトロンビンによって切断され、N-Half OPNに変換される。N-Half OPN もまた生理活性を有し、強力な炎症作用を発揮する。動脈硬化プラークの破綻と血栓形成がアテローム血栓性脳梗塞の一因と考えられているがその機序は不明である。本研究ではOPN及びN-Half OPNがマウスプラーク破裂機構に関与しているかを検討した。【方法】OPN-/-マウス、ApoE-/-マウス、OPN-/--APOE-/-マウス、WTマウスの右総頸動脈を結紮し、結紮4週間後にポリエチレンカフを装着した。カフ装着4日後に還流固定を行い、摘出した右総頚動脈を用いて組織学的に検討した。【成績】動脈硬化病巣面積はWTマウスに比べてApoE-/-マウスで有意に大きく、ApoE-/-マウスに比べてOPN-/-マウス、OPN-/--APOE-/-で減少していた。プラーク内出血及び破裂率はApoE-/-マウスと比較してOPN-/--APOE-/-マウスでは減少していた。血中コレステロール値は両群間で有意差は認めなかった。OPN-/--APOE-/-マウスの動脈硬化巣はAPOE-/-マウスの動脈硬化巣に比して、Oil red O染色陽性領域の減少を認め、DHE染色では酸化ストレスの抑制を認めた。APOE-/-マウスの動脈硬化巣においてはF4/80発現陽性マクロファージが認められ、OPN-/--APOE-/-マウスではその発現が抑制されていた。【結論】免疫組織学的染色でAPOE-/-マウスの動脈硬化巣においてOPN及びN-Half OPNの発現が認められたことから、OPN及びN-Half OPNがAPOE-/-マウスの動脈硬化巣の形成ならびにプラークの不安定性に関与している可能性が考えられた。今後、N-Half OPN中和抗体を用いた動脈硬化プラーク破裂を抑制できるか検討する予定である。
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