研究課題
基盤研究(C)
ヒトazacitidine (AZA)耐性白血病細胞株(THP-1/AR、HL60/AR)において、AZA活性化プロセスの律速酵素であるuridine-cytidine kinase 2 (UCK2)遺伝子に、共通に認められる4箇所の点変異を見出した。この4箇所の変異を有するUCK遺伝子をTHP-1細胞で発現させたところ、AZAによるアポトーシス誘導が抑制され、AZAに対するIC50値の増加を認めた。一方、野生型UCK2遺伝子をTHP-1/ARで発現させたところ、AZAに対する感受性が回復した。このことから、UCK2遺伝子変異によるUCK活性の低下がAZA耐性に関与しているものと推察された。最近、抗アポトーシス因子であるBCL2L10の高発現がAZA耐性に関与していると報告された。THP-1/AR、HL60/ARでもBCK2L10の高発現を認めたが、BCL2L10 siRNAによってBCL2L10の発現を抑制しても、AZAに対する感受性の回復がみられなかった。従って、BCL2L10の発現異常は、THP-1/AR、HL60/ARにおけるAZA耐性機序には関与していないと考えられた。一方、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬romidepsinはTHP-1/AR、HL60/ARに対してもp16 mRNA発現量およびアポトーシスを誘導した。また、isobologram解析では、romidepsinとAZAの併用が細胞増殖を相加的に抑制することが示された。さらに、Balb/cAJcl-nu/nu マウスにHL60/AR細胞を移植したXenograft modelでも、romidepsinは腫瘍の増加を著明に抑制した。以上の結果から、romidepsinはAZA耐性細胞にも有効であり、AZAとromidepsinの併用投与は、AZA耐性細胞の増大を防止する可能性が示唆された。
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