研究課題
基盤研究(C)
先行実験からSCIDマウスの部分肝移植後にヒト骨髄由来のMuse細胞が肝切離断面に集積し、肝臓構成細胞に分化して肝組織修復および再生に寄与していることが明らかとなった。本研究では、(A)Muse細胞移植実験によって確認された確認された肝外性差肝組織修復細胞の誘導因子同定および(B)生体部分肝移植生検組織を用いた肝外由来細胞の局在同定を目的とし、肝外性細胞による組織修復を臨床的肝再生モニタリングの指標として用いる可能性を検証した。(A)については、肝切離断面近傍で発現している遺伝子を網羅的に解析し切離後24時間では細胞接着、48時間ではMHC結合タンパク、72時間では細胞周期等に関する遺伝子発現が上昇していた。これらの結果からその上位シグナルを検証し誘導因子を同定する実験を開始した。(B)については、はじめにそのモデルとしてGFP導入Muse細胞を用いて、肝細胞(HepPar-1)、胆管細胞(CK19)、および類洞上皮細胞(Lyve-1)特異的タンパクの2重染色でその局在を同定し分化を確認した。さらに、レシピエントが男性、ドナーが女性の場合のグラフトからレシピエント由来(X染色体があるもの)細胞が各組織に分化していることを確認した。以上のことから、生体部分肝移植時のグラフト肝における肝外細胞由来の肝組織の存在が臨床的肝再生モニタリングの指標の一つになることが示された。一方、Muse細胞を用いた実験からは、肝外細胞の集積は肝切離面に比較的限局しており、切離面を避けて行う生検材料では情報が限定的になる可能性も考えられた。
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