配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2014年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2013年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
研究概要 |
悪性グリオーマは、従来の治療法では根治が得られない。この治療困難な腫瘍を克服するためには、既存の治療法とは異なる新しいアプローチが必要である。第3世代がん治療用単純ヘルペスウイルス1型(G47Δ)は、腫瘍細胞選択的に複製し、直接腫瘍細胞を破壊する。G47Δはほとんどのグリオーマ細胞株で高い複製能を示すが、一部の細胞株では感染しても低い複製を示すことがある。そこで、そのようなグリオーマ細胞に対して治療効果を増強する方法の開発を目的とした。【方法と結果】1) 4種類のグリオーマ細胞株(U87G, U251, A172, T98G)において、G47Δの殺細胞作用をCytotoxicity Assayを用いて検討した。比較的低用量であるMultiplicity of infection 0.01では、G47Δに対する感受性が異なり、2種類の細胞株(A172, T98G)で殺細胞効果が乏しかった。2) 4種類の細胞株からmicro RNAを抽出後、real-time PCR法を用いて、HSV1複製を阻害するとされるmiR-199a-3pとmiR-214の発現量を検討した。殺細胞効果が乏しいA172, T98Gでは、miR-199a-3p,miR-214の発現が高かった。3) 4種類の細胞株に対して、レンチウイルスを用いてmiR-199a-3pとmiR-214をそれぞれ特異的に阻害するRNA decoy (TuD-miR199a-3p, -miR214)を導入して安定細胞株を作製した。4) TuD-miR199a-3pあるいは TuD-miR214導入細胞株を用いて、G47Δの殺細胞作用をCytotoxicity AssayとReplication Assayを用いて検討した。A172と T98Gでは、miR-199a-3pもしくはmiR-214を阻害した細胞株において、G47Δの複製が増大し、殺細胞効果が増強した。【結語】がん治療用ウイルスの複製が低い細胞においてはmiR-199a-3pやmiR-214の発現が高い場合があり、それらを特異的に阻害することでウイルス複製が増強できた。これらの結果は、G47Δ感受性の乏しい腫瘍細胞に対する新規治療戦略になり得ると考えられた。
|