研究課題
基盤研究(C)
市販高齢者食品を用いた官能試験・物性分析・摂取時の咬筋,喉頭上筋群活動高齢者では,低活動性や味覚閾値の上昇などによる食欲低下や全身機能の低下によって咀嚼嚥下機能にリスクを有することが多い結果,蛋白エネルギー栄養障害に陥り,全身状態が低下する.本研究の目的は,そのようなリスクを持つ高齢者での咀嚼嚥下機能の賦活効果の高い訓練食の開発に必要な要素を明らかにすることである.平成25年度は,健常非高齢者を被験者として,市販高齢者食品を試料に,口腔への取り込みから嚥下までの間の官能評価,食品レオロジー分析,咀嚼嚥下機能に関わる筋群の筋活動を時系列的に分析し,個々の測定結果の関係を検討した.筋電図採取:咬筋,喉頭上筋群活動を表面電極によって採取した.採取方法は,主研究者が確立した方法に準じた.官能試験:筋電図採取前にVAS(Visual Analogue Scale)により行った.VAS項目は,「歯切れ」「食べ易さ」「ざらつき」「口どけ」「かたさ」「なめらかさ」「歯への付着」「のどごし」とした.レオロジー分析:㈱明治HD中央研究所にて行った.予備研究で付着性と崩壊性の異なる市販プロセスチーズを用いた検討により官能試験での評価と物性試験の結果が,咀嚼開始から嚥下までの時間を三分割した時間帯ごとの左右咬筋活動量の単位時間当たり仕事量によって説明できることを明らかにできた.それによると,のど越しが悪く付着性が高い食品では単位時間当たりの仕事量は低いが,官能試験にて好感を得た経時的に粘性が低下する物性を有する場合は,当初単位時間あたりの仕事量は高いものの,短時間でテクスチャが低下することで必要な筋活動量が急激に減少することで良好に嚥下できることがわかった.すなわち,高齢者で咀嚼中に刺激性唾液の分泌量が減少することにより送り込み動作が影響する場合にも,時系列的に筋活動に反映されることが示された.
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