本研究は観光を糸口として文化財のバリアフリー整備にどこまで踏み込んでいるかを明らかにするものである。バリアフリー整備状況は城郭の地理的条件だけでなく,管理者の意向によって異なっている。観光施設としての満足度とバリアフリー整備の意識には関連があることもわかった。年齢や性別も影響している。また,管理者はバリアフリー整備を必要する方と直接対話することで,制度上困難な整備でも仮設で対応しようとする意向があることがわかった。若い世代がそうした配慮に好意的であり,歴史的価値の認識にも影響しないことから,可能な限りのバリアフリー整備を検討していくことが必要である。
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