研究課題
基盤研究(C)
1. ヒトiPS細胞由来CD34陽性EPC(iPS-CD34+EPC)の解析ヒトiPS細胞をfeeder-free且つ、ウシserum-free条件下にて3つの添加因子を用いることで、CD34陽性血管内皮前駆細胞(EPC)を分化誘導する系を確立した。CD34抗体で分離したiPS由来EPCは生体のEPCと同様に以下の細胞活性を持つことが明らかになった。①EPCコロニー形成能②血管内皮細胞特異的tube形成能 ③血管内皮細胞への分化能④血管内皮細胞関連遺伝子マーカーの発現。2. iPS-CD34+EPCの体外増幅培養分化誘導Day15で分離したiPS-CD34+EPCはFACS分離後に3~7%(~5 x 104細胞)程なので、これらの細胞を体外増幅培養した結果、StemSpan (serum free)培養液にVEGF, SCL, IL-6, Flt3 ligand, TPOを添加して非接着状態で1週間培養すると4~6 倍の増幅効果が得られた。分化誘導Day15で接着細胞と浮遊細胞から別々にFACS分離したiPS-CD34+EPCはEPCコロニー形成、さらにHUVECへのmigration活性を有していた。3. iPS-EPCと生体EPCの比較のためのシングルセルqPCRによる細胞解析重症下肢虚血5検体と健常者2検体の各96細胞の191遺伝子のシングルセルqPCR解析とSpearman相関検定の結果、治療効果の最も高い検体(+6)のみがCD34+CD45-分画でCD34とVEGF、CXCL2、血管内皮マーカーとの相関を示すのに対して、治療効果の低い検体(+3 ~ +1)ではCD34+CD45-分画においてCD34と相関がある遺伝子群は検出されず、CD34+CD45+分画において+6検体と同様に血管新生関連遺伝子群と相関とそれら以外に血管平滑筋、神経分化、肝分化、及び細胞増殖抑制因子との相関がCD34と顕著に見られた。これらのことは、CD34細胞が血管新生因子群を発現しているにもかかわらず、同時に血管系譜以外の遺伝子が発現し、細胞増殖活性が低下していることが治療効果の減弱の一因となっていることが示唆された。
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