直径が1~10nmの細孔内のシクロヘキサンとベンゼンの低温熱挙動を断熱法熱測定で調べた。その結果,3つの特性が明らかとなった。一つは,ガラス転移温度,従って分子再配置素過程は細孔直径にほとんど依存しない。他の一つは,熱容量はなだらかなピークを与え,細孔直径の増大とともに低温側にシフトした。細孔内では実現可能な分子凝集構造が制限されることに基づき,バルク液体ではガラス転移温度以下にあるものと推論される。残りの一つは,シクロヘキサンは直径が2.1 nm付近で相転移を示す。これは,2.2 nmの細孔に丁度適合する,液体に特性的な構造が存在し,この構造が安定化する状況が実現するものと理解される。
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