研究課題
挑戦的萌芽研究
我々は、タバコ煙ガス相に含まれる細胞傷害性因子として、不飽和カルボニル化合物であるアクロレイン・メチルビニルケトン・シクロペンテノンの同定に成功した。しかしながら、これらの化合物による細胞傷害の分子機構は不明である。そこで本年度は、不飽和カルボニル化合物による細胞傷害の分子機構の解明に向け、タンパク質のカルボニル化の検出方法の確立を試みた。不飽和カルボニル化合物で処理した細胞から、免疫沈降法によってタンパク質を精製した。精製したタンパク質のカルボニル化の有無を、Aldehyde Reactive Probe(ARP)で検出した。条件検討の結果、免疫沈降にあたっては、細胞の可溶化にNP-40バッファーを用いることで良好な結果が得られることが判明した。この確立した手法を用いてPKC、STIM1、GAPDHなどのタンパク質が不飽和カルボニル化合物によるカルボニル化修飾を受けることを見出した。不飽和カルボニル化合物による細胞傷害を抑制できる化合物を見出すため、ハイスループットかつ定量的な細胞傷害の評価方法の確立を試みた。細胞膜傷害に伴って細胞内に取り込まれるPropidium iodide(PI)の蛍光を、フローサイトメトリーを用いて評価したところ、不飽和カルボニル化合物の濃度、及び処理時間依存的な反応関係が得られた。本手法は、酸化還元反応等、他の化学反応や酵素反応の影響を殆ど受けなかったことから、不飽和カルボニル化合物による細胞傷害の抑制物質のスクリーニングに適した手法であると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件)
Toxicology
巻: 314 号: 1 ページ: 1-10
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Journal of Pharmacological Sciences
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130003382599