組織幹細胞の放射線応答動態から捉えた低線量放射線影響の発現機構の解明

• 研究課題/領域番号: 25740022
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 放射線・化学物質影響科学
• 研究機関: 一般財団法人電力中央研究所
• 研究代表者: 大塚 健介 一般財団法人電力中央研究所, 原子力技術研究所, 主任研究員 (50371703)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2015年度)
• 配分額: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円); 2015年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円); 2014年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円); 2013年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
• キーワード: 組織幹細胞 / DNA損傷 / 腸管 / 低線量放射線 / 細胞動態 / EdU / フローサイトメトリー / 放射線 / 放射線発がん / Lgr5 / 蛍光免疫染色 / 組織ホールマウント

研究成果の概要

組織を維持する幹細胞の遺伝子変異が原因で発がん過程に進展すると考えられている。放射線は細胞に確率的に突然変異をもたらすため、がん化を促進する要因となりうる。しかし、低線量率被ばくは、疫学研究からも発がんリスクの増加が認められず、傷ついた幹細胞が少ないことを反映していると考えられた。そこで、本研究は、がんの標的となる組織幹細胞に着目し、放射線応答動態の指標として幹細胞におけるDNA損傷修復動態や増殖活性を評価した。組織構造を維持したまま、DNA損傷や細胞動態を評価する実験系を構築して放射線応答を調べたところ、組織幹細胞ではDNA損傷が効率的に修復されることを明らかにした。

研究成果

• [雑誌論文] Effects of Dose Rates on Radiation-induced Replenishment of Intestinal Stem Cells Determined by Lgr5 Lineage Tracing. (2015)
  • 著者名/発表者名: Otsuka K and Iwasaki T.
  • 雑誌名: Journal of Radiation Research
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Bcl11b SWI/SNF-complex subunit modulates intestinal adenoma and regeneration after γ-irradiation through Wnt/β-catenin pathway. (2015)
  • 著者名/発表者名: Sakamaki A, Katsuragi Y, Otsuka K, Tomita M, Obata M, Iwasaki T, Abe M, Sato T, Ochiai M, Sakuraba Y, Aoyagi Y, Gondo Y, Sakimura K, Nakagama H, Mishima Y, and Kominami R.
  • 雑誌名: Carcinogenesis
  • 査読あり
• [雑誌論文] Ionizing Radiation Leads to the Replacement and de novo Production of Colonic Lgr5+ Stem Cells (2013)
  • 著者名/発表者名: Kensuke Otsuka
  • 雑誌名: Radiation Research 巻: 179 号: 6 ページ: 637-646
  • DOI: 10.1667/rr3253.1
  • 査読あり
• [学会発表] Live-cell imaging of 53BP1 foci during cell competition (2015)
  • 著者名/発表者名: Otsuka K, Tomita M, Iwasaki T, Suzuki K
  • 学会等名: 12th International Workshop on Microbeam Probes of Cellular Radiation Response
  • 発表場所: 若狭湾エネルギー研究センター
  • 年月日: 2015-06-01
  • 国際学会
• [学会発表] Radiation response of intestinal stem cells under different dose rates (2015)
  • 著者名/発表者名: Otsuka K, Tomita M, Suzuki K, Iwasaki T, Yoshida K
  • 学会等名: 15th International Congress of Radiation Research
  • 発表場所: 京都国際会館
  • 年月日: 2015-05-26
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Replenishment of intestinal stem cells as a mechanism of dose-rate effect (2015)
  • 著者名/発表者名: Otsuka K, Tomita M, Suzuki K, Iwasaki T
  • 学会等名: Stem Cell and Radiation Carcinogenesis Workshop 2015
  • 発表場所: 京都国際会館
  • 年月日: 2015-05-25
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 異なる線量率下での腸管幹細胞へのDNA損傷と幹細胞ターンオーバー動態の評価 (2014)
  • 著者名/発表者名: 大塚 健介、冨田 雅典、山内 基弘、鈴木 啓司、岩崎 利泰
  • 学会等名: 第57回 日本放射線影響学会 鹿児島大会
  • 発表場所: かごしま県民交流センター
  • 年月日: 2014-10-01 – 2014-10-03
• [学会発表] 3.DOSE-RATE EFFECT ON THE TURNOVER OF COLONIC STEM CELLS EVALUATED BY LGR5-LINEAGE TRACING (2014)
  • 著者名/発表者名: Otsuka K, Tomita M, and Iwasaki T.
  • 学会等名: 41st Annual Meeting of the European Radiation Research Society
  • 発表場所: Aldemar Paradise Mare, Rhodes, Greece
  • 年月日: 2014-09-14 – 2014-09-19
• [学会発表] Dose-Rate Effect on the Turnover of Colonic Stem Cells Evaluated by Lgr5-Lineage Tracing (2014)
  • 著者名/発表者名: Kensuke Otsuka, Masanori Tomita, Toshiyasu Iwasaki
  • 学会等名: 第6回 国際システム放射線生物学ワークショップ
  • 発表場所: 放射線医学総合研究所（千葉県）
  • 招待講演
• [学会発表] 腸管幹細胞の細胞死と組織維持機構 (2013)
  • 著者名/発表者名: 大塚健介、山内基弘、冨田雅典、松本英樹、鈴木啓司、岩崎利泰
  • 学会等名: 第56回 日本放射線影響学会
  • 発表場所: クラウンパレス青森（青森県）
• [学会発表] 放射線による腸管幹細胞へのDNA損傷と幹細胞ターンオーバー動態の評価 (2013)
  • 著者名/発表者名: 大塚健介、冨田雅典、山内基弘、鈴木啓司、岩崎利泰
  • 学会等名: 第36回 日本分子生物学会
  • 発表場所: 神戸国際会議場（兵庫県）
• [備考] 一般財団法人電力中央研究所 原子力技術研究所 放射線安全研究センター
  • URL: http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/index.html