フランスの哲学者・数学者ルネ・デカルトにおける「学問の樹」の構想を用いて体育学を一本の樹木になぞらえることにより、「体育学の全体像」について次の結論が得られた。体育学の「第一の研究対象」として「人間」、そして「第二の研究対象」として「身体運動」が定められ、両者をふまえた「身体運動する人間」が体育学における研究対象の根幹である。さらに、幹から伸びる「枝」に相当するものが体育学に属する諸専門領域であり、枝の先に実る「果実」が研究成果に相当する。他方、体育学の独自性としては「人間の身体運動の最高度の可能性を構想し、その実現を試みる学問」として同じ人間を研究対象とする医学との違いが明確化された。
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