本研究では、平等権侵害がなされた場合の違憲審査基準に関して、カナダ憲法の議論を素材とし、日本における議論との接合を試みた。平等権侵害を判定する際のアプローチは両国で非常に異なっており、例えば、区別事由の捉え方、制約される権利・利益の重大性の位置づけなど、我が国へ示唆を与える要素は多く見られた。具体的には、列挙事由に類似する事由の判定基準、権利・利益が与えられないことによる不利益の形成など、カナダの視点を取り入れることで、より平等権侵害の本質である差別の禁止という観点を抽出できるのではないかと結論付けた。
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