刑事裁判において使用するために国外で証拠が獲得されたとき、当該証拠の獲得が国内法に照らし「手続に違背している」状況や、「違法である」と評価されるような状況であったとしても、その証拠能力について許容的なアプローチが広く認められてきた。このような証拠の使用を認めることは、かような状況下にある被告人の実体的権利の保障に関して、通常の事案にある被告人と比較してより低いものになってしまっているというよりは、「公正さを欠く」裁判を受けたというべきであろう。「公正な裁判の保障」の内実から直截に証拠を排除する理論的枠組みを構築すべきである。
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