本研究では、正規・非正規それぞれの形態に対する解雇規制の変更が労働市場に及ぼす影響を、(1) 団体的賃金交渉、(2) 労働者及びジョブの異質性、(3) 労働者の働く意欲、という要素に注目しながら分析を行った。これらの観点に基づき、従来の研究における主要な関心事であった雇用創出や失業率への影響に加え、解雇規制の変更が企業の採用基準や労働生産性、及び正規雇用者の労働意欲に与える影響も明らかにした。本研究を通じて、新規雇用の創出を促す政策であっても、正規雇用者の労働意欲を減退させたり労働生産性を低下させたりする可能性があることが示された。
|