本研究は,(1)日本の高額報酬者を対象とした基本報酬額とキャリアの関係性,(2)役員の就任根拠をキャリアで代替する妥当性,(3)経営者の特性,取締役会長の特性,企業業績の間の関係性の三検証において成果を得た。 なかでも重要な(1)は,実際の基本報酬額データを使用した役員の基本報酬額と当該役員の企業人としてのキャリアとの関係性の検証であり,次の結果を得た。①基本報酬額は当該役員の役員経歴年数と正の相関関係にある。②役員経歴年数の長さは役員就任以前の各種のキャリアの期間の長さと負の相関関係にある。③その一方で,役員と所属企業の間に所有関係があれば,役員はより長い期間役員を継続することが可能となる。
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