会計情報には投資家が企業価値を評価するにあたって有用な情報を提供することが求められている。しかし、会計情報をどのように解釈するのかについては投資家に委ねられており、意見が一致しない可能性がある。本研究は、会計情報に対する意見不一致がもたらす影響について、株式市場に関する数理モデルを用いて考察するものである。検証を通して、意見不一致が株価変化に対する経営者の事前の信念を変化させる可能性があり、また経営者の行動が会計情報の解釈のされ方に依存する可能性を示唆する結果を得た。これらの結果は、情報開示制度の設計など会計情報の意義を考えるうえで、新たな視点を提供するものである。
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