本研究は、主要組織適合遺伝子複合体クラス1分子が遺伝的に欠損したADHDモデルマウスの認知機能と脳神経形態の特徴を明らかにすることを目的として行われた。ADHDモデルマウスには有意な運動衝動性の増加と注意欠陥がみられた。一方、認知衝動性や空間学習機能、逆転学習機能については野生型マウスと差はみられなかった。ゴルジ染色法を用いて線条体、側坐核、前頭前野の神経形態を分析したところ、線条体の樹状突起棘の成熟度に差がみられ、未成熟な樹状突起棘の割合がADHDモデルマウスに多いことが示された。また、前頭前野の帯状皮質においてADHDモデルマウスの樹状突起が長く、分岐数が多いことが示された。
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